首都圏から東北、甲信越にかけて長い路線網を有するJR東日本は4月30日に2024年度設備投資計画を発表しました。ここではそんな計画の中身を分かる限り詳しく解説します。
JR東日本は早くて2024年度末から中央線の快速列車にグリーン車を導入します。グリーン車は自由席型の有料座席車で、特急列車を除けば東海道線、常磐線、高崎線、宇都宮線、横須賀・総武快速線系統を走る列車に 設定されてきました。中央線では新たにグリーン車2両が連結され、12両編成での運転が始まる関係で駅のホームの長さを延長する工事を行っています。また信号機や踏切、車庫なども対応させる必要があるため 各所での対応工事も行われています。当初2023年末にはグリーン車の運用が開始される予定でしたが、半導体不足によるグリーン車製造遅延によって計画は延期されJR東日本は"少なくとも1年程度遅れる"としています。
羽田空港アクセス線は3つのルートとアクセス新線から成る路線で、首都圏を走る数々の路線から羽田空港までアクセスできるルートを作ることでインバウンド対応や利便性の向上を狙うものです。
今回整備されるのはそのうちの東山手ルートとアクセス新線で、空港アクセスが悪かった常磐線、高崎線、宇都宮線等の利便性を向上します。
東山手ルートは田町駅から分岐し、東京貨物ターミナル駅に至るルートで、このルートは現在休止されている大汐線という貨物線を利用して整備される予定です。
大汐線は現在休止されていて使用されていませんが、鉄道設備は残っているため有効活用することになりました。
上野東京ラインと大汐線の接続点では山手線の線路を移設し、スペースを作ったうえでトンネルを掘る工事が行われる予定です。
アクセス新線は東京貨物ターミナル駅に集まった3つのルートを羽田空港につなげる役割をする路線で、約4.2kmの地下トンネルで建設される予定です。
空港島でのトンネル等の工事は国土交通省による空港整備事業で行われる予定で、その費用も含めると東山手ルートとアクセス新線の工事費は約2,800億円、31年度の開通を目指します。
現在、山形新幹線が福島駅に辿り着くには単線の接続線を利用しているのですが、その線路が下りホームに接続されているために列車の運用に制約がかかっています。
山形新幹線の列車と連結する際、下り列車なら問題は少ないのですが、上り列車の場合は上り線から下り線を跨いで下りホームで連結、発車の際も下り線を跨いでから上り線を走ります。
そうすると山形新幹線と連結する上り列車によって下り線の列車の運用を考えなければならなくなり、かなり面倒な事になっていました。
そこで現在下り線のみの連絡線を上り線に増設し、制約を無くすというのがこの計画です。完成すれば奥羽本線まで複線となりかなり自由度が向上すると思われます。
すでに着工していて2026年度末に完成予定です。
JR東日本は盛岡~新青森間の最高速度260km/hを320km/hとするために2020年から行っています。計画としては吸音板や吸音壁、トンネル突入時の発生音を減らす為の構造物追加を 178kmの範囲の中で必要な場所に行い、2027年度頃の工事完了を目指しています。速度向上によって所要時間が約5分短縮される見通しです。
設備投資計画で示された列車メインの情報は以上となります。JR東日本は昨年いくつかの不祥事が報道されており、安全等について厳しく問われています。 JR東日本が鉄道ネットワークを拡大したとしても日本の鉄道が誇る安全が保たれて欲しいと思います。ここまでありがとうございました。
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